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バレーボールにおける暑さ対策

本来、発育期の子供達や一般人が、高温多湿の環境下でスポーツをするのは必ずしも好ましいと言えず、必要以上に生体に負担がかかり、体力の消耗が激しく、脳の働きも鈍ってきます。従って、競技力向上に制約が出るばかりでなく、けがも増え、熱中症にかかる危険性も高くなります。

体育館でも油断は禁物

冷房が完備していない限り、夏の体育館の温度は、風通しの悪い、ない体育館では、直射光こそないものの、対流も生じず、うつ熱状態になるので、むしろ屋外より暑熱環境的には高温の悪い状況となりえます。実際には、体育館の猛暑日の気温は、乾球温37℃以上、WBGT33℃以上の厳しい暑さになることが予想されます(WBGT:湿球黒球温度 ※熱中症予防運動指針参照)。屋内競技であるバレーボールでも熱中症の発生は多分にありうるのでその予防対策が必要です。

ここでは、熱中症を予防する「暑さ対策」の観点から、夏季においてバレーボールを実施するにあたっての注意点をポイント解説します。

暑さがもたらすからだへの影響

①暑さと体温調節 発汗の仕組み

運動時の熱の出納は、
外来熱量+産熱量-放熱量=蓄熱量
で計算されます。熱産生は主に運動により筋肉で生じ、熱放散は皮膚で皮膚血流を増して行なわれています。運動をすると、体の熱産生が熱放散を上回り、蓄熱量が増加してきますが、通常では熱放散のメカニズムが働いて体温はあまりひどくは上昇しません。熱放散のメカニズムは、皮膚の血流が増えて汗腺で汗を作ることで生じます。皮膚温30℃で発汗が生じ、汗自体の熱とその気化熱として熱放散します。熱放散は、気温、湿度、風や輻射熱(直射日光など)の影響を受けますが、気温や湿度、輻射熱が高い環境では、運動による熱産生に見合った熱放散ができずに体温は過度に上昇することになります。夏の暑い日の体育館での運動では、この状態を考慮しなくてはなりません。

②暑さに負けると熱中症 熱中症を知ろう

■熱中症(日射病)
運動をすると熱が発生します。ヒトは過剰な熱を発汗によって調節していますが、真夏のグラウンドや体育館といった暑熱環境下のスポーツ現場では発汗量が著しく増加します。大量の発汗はパフォーマンスの低下をもたらし、熱中症を引き起こす原因になります。
運動時には、まず運動をするために筋肉に血液を送り込まなければなりません。他方では、発汗という熱放散のために皮膚の血流も十分に確保しなくてはなりません。暑熱環境下で運動すると、皮膚への血流量を大幅に増やさざるを得ず、相対的に循環血液量が減少してしまいます。この結果、生理学的に連鎖反応が起こって、最終的には生命に危険な状態にまでなってしまいます。これが「熱中症」といわれる病態なのです。

■病型

熱失神 発汗を促すために皮膚や筋肉の血管が拡張します。これが血管床の増加を招き、発汗による脱水とあいまって循環血液量の相対的減少を引き起こし、脳血流量が下がって失神することがあります。
熱疲労 体温の上昇を押さえるために発汗しますが、発汗量に水分補給が追いつかないと脱水になり、脱力感や倦怠感、めまいや吐き気を訴えるようになります。
熱痙攣 多量の発汗に対して水分だけを補給していくと塩分不足を招き、四肢の筋肉がけいれんしたり腹痛を生じたりします。
熱射病 脱水が過度に進むと、減少した循環血液量に対して体の重要臓器の循環血液量を維持しようとして今まで開いていた皮膚の末梢血管を逆に収縮させて血管床を減らそうとします。すると、かえって発汗は押さえられてしまい、ますます体温は上昇してしまうという悪循環に陥り、あげくは高温性の臓器障害を引き起こしてしまいます。異常な体温上昇(40℃以上)と共に意識障害やショック(急性循環不全)となり多臓器不全で生命にかかわる状態に至ってしまいます。

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