バレーボールにおける暑さ対策
水分摂取の方法 多量発汗には塩分補給も!
競技力の維持、向上には「水分」が重要な役割を担っています。「脱水」ひとつで疲労を助長し、競技力が十分に発揮できなくなってしまいます。したがってコンディショニングとして水分補給は重要な課題です。水分補給には体温調節の役割もあり、競技の特性に合わせて上手に行う必要があります。
実際に飲むのは、水でよいのか?スポーツドリンクがよいのか?が知りたいところです。
発汗による体重の1%の減少は、体温を0.3℃上昇させ、体重の2~3%の水分喪失に至ると水の補給だけでは発汗量をさらに増すことになり、汗とともに塩分が出てしまい、塩分の喪失を助長します。また、塩分の補給をしないでいると、希釈性の飲水停止が生じ、むしろ水を飲みたくなくなり、かつ余分な水分を尿として排泄し、あげく体液量を保持できなくなってしまいます。したがって、夏場の運動時には、"適当な水"を用意して、運動量に合わせて積極的な飲水を試みる必要があります。
- ①熱中症予防の理論
熱中症の予防には、理論的に言って、
- 発汗による体重減少の70~80%の水分補給が必要です。
- 飲水の目標は、発汗による体重減少が体重の2%以内に押えるように補給しましょう。
- 運動中は発汗量の50~80%の量を補給する必要があります。
- 体重の2~3%の発汗には塩分の補給が必要となります。
- 長時間になるときには糖分の補給も必要です。
- ②バレーボールを実施する時の考え方
バレーボールを実施する時の考え方は、
- 激しいプレーでは1時間当たり2リットルの発汗を想定しましょう。
- 1リットル以上の発汗に対しては水分のみならず塩分の補給も必要となります。
- 激しいプレーでは1時間当たり500kcalのエネルギーを消費するので、糖分の補給も必要と考えましょう。
- ③塩分補給とクーリング効果を考慮した水分摂取が大切!
水分摂取では、塩分補給とクーリング効果を考慮し、飲みやすく、吸収のよい濃度・温度に調整することが大切です。
- 5~15℃に冷やした飲水(冷たい水)は、クーリング(冷却・体温を下げる)効果があると同時に吸収もよくなります。
- 塩分補給には0.1~0.2%の食塩水が基準です。(ナトリウムが100ml中40-80mg)
- 糖分補給には4~8%程度の糖水を標準と考えましょう。
- 市販のスポーツドリンクには、大体のところ塩分濃度0.1~0.2%、糖分5~6%が入っています。
- ④実際の水分摂取の方法
■運動前
- 開始前に250~500ml(=300ml)の飲水をしましょう。
■運動中
- 15分おき程度に200~250ml位の量を飲みましょう。
- 5~15℃に冷やした水やスポーツドリンクを使いましょう。
- 水分補給は後追いになってはならず、先手必勝が原則です。飲みたい量を飲みたいときに飲むという自由飲水(こまめに少量ずつ)が原則です。さらに言えば、飲みたいより「飲まなくては」の発想で、飲みたくなる前に飲むことが必要でしょう。
- 水とスポーツドリンクを交互に飲む、前半には水を飲み、後半をスポーツドリンクにするなど飲む等工夫してください。
■運動後
- 運動終了後の回復時にも水分を摂取することによって、上昇した体温を早く下げる効果があり、これだけでも疲労の回復が早くなります。
- ⑤その他
エネルギーの消耗が激しいので食事は3食きちんととりましょう。
バレーボールでは、トップレベルの1時間の競技や練習で約500kcalものエネルギーを消費するといわれていますので、運動による消費エネルギーの補給を適切に行うことも大切です。日頃から、筋力維持向上のために蛋白質、脂肪、炭水化物のバランスをよく、偏らない食餌にし、競技直前や競技中間の食餌は炭水化物主体の消化のよい形状のものにするのが効果的です。運動直後の炭水化物は、グリコーゲンの生成効率がよいということを知っておきましょう。
詳しくはマニュアルのP10~15へ!